パブリックコメント(パブコメ)として提出した意見を公開します。
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http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu141218_01.html
案件番号: 198252317
案件名: 関西電力株式会社高浜発電所3号炉及び4号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について
所管府省・部局名等: 原子力規制委員会 原子力規制庁 原子力規制部 安全規制管理官(PWR担当)
意見・情報受付開始日: 2014年12月17日
意見・情報受付締切日: 2015年01月16日
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受付番号 201501160000327477
(1)原子炉施設の安全規制において、住民避難をふくむ防災対策の実効性を確立することが極めて重要であるにもかかわらず、そのことが真摯に検討されていない。東電福島事故の教訓を踏まえて、広域のモニタリング体制、複合災害における避難交通路の脆弱性、ベント実施と住民避難指示の連係など、具体的かつ詳細に検討すべきである。高浜原発については、とりわけ直近住民の避難経路の極度の脆弱性と琵琶湖に汚染が及んだ場合の対処と責任について、徹底的に審査すべきである。
(2)過酷事故発生時に、汚染水漏洩を確実に阻止する手立てがとられていない。高浜原発の場合とりわけ敷地面積・地形の制約から、福島事故におけるようなタンク敷設が困難であり、深刻な海洋汚染をひきおこす(それは同時に重大な国際問題をひきおこす)ことが危惧される。
(3)福島原発事故においてもヒートシンクの健全性をめぐる問題が指摘されたが、高浜原発においては特に、冷却用の海水取水口から原子炉建屋にいたる水路の物理的脆弱性がおおいに懸念される。地震動により水路を構成するU字管の継ぎ目がずれて、必要とする冷却水の流量を確保できず、炉心冷却が途絶える事態が十分起こりうる。この点の評価と抜本的対策をとるべきである。
(4)東電福島事故においては、炉心損傷を防止しえず、格納容器ごとの冷却というきわどい対応を迫られた。高浜原発においても同様の事態が起こりうることは審査書も想定しているようだが、そもそもそのような想定は、新規制基準(規則の解釈第37条)にいう「「炉心の著しい損傷を防止するための十分な対策が計画されており、かつ、その対策が想定する範囲内で有効であること」という要求を満たし得ないものではないか。審査書においては、規制基準にいう「格納容器の機能に期待できる」とする事故想定の範囲が明らかにされていない。
(5)高浜原発の今回の審査対象の炉においてはMOX燃料の使用が計画されているが、審査書においては、「減速材温度係数とドップラ特性にはMOX燃料の特性を考慮する」とされているのみで、重大事故においてMOX炉心におこりうる事態を十分解析・評価する姿勢に欠けている。また、照射済みMOX燃料が使用済み燃料プールに置かれているときに重大事故が発生した場合、福島原発事故において発生した以上の危機が懸念される。この点についての考慮も欠けている。
この他にも、新規制基準それ自体に含まれる欠陥、圧力水型軽水炉の構造に由来する問題、また高浜原発の立地条件等に由来する固有の問題、いずれの次元においても、審査書では十分に評価されていない多くの問題があり、今回の意見募集において寄せられるであろう数多くの具体的指摘をふまえ、審査をやりなおすべきであり、そうしなければ高浜原発の運転にあたっての安全性が確保できるとは到底言えない。
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以上、細川が提出した意見でした。
原子力市民委員会では、高浜原発パブコメの文例集を公開していますので、ぜひ御覧ください。
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