2010年2月27日

【Libros】 類はアマゾンでも友をよぶ

 チカップさんの遺作となってしまった『カムイの言霊』が現代書館から刊行されたとのことなので、さっそくAmazonの高木基金口をひらいて発注した。すると、例によって、こんな本もありますといってAmazon君が何冊かを表示しよる。そのなかに、的場光昭なる著者の『「アイヌ先住民族」その真実』というのがあった。

 歴史の捏造論争の三流コピーだろうなぁと見当はついたけど、一応ページを開いてみる。開けて、おやおや、Amazonお得意の機能で「この商品を買った人はこんな商品も買っています」と類似本がずらずらと並ぶのだが、あらまぁ、

 『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』工藤美代子
 『中国の戦争宣伝の内幕 —日中戦争の真実』F.V.ウイリアムズ
 『シナ人とは何か』宮崎 正弘
 『NHK捏造事件と無制限戦争の時代』藤井厳喜

といった具合のオンパレード、やれやれ、まさしく類は友をよぶ、ということか、たはは。

2010年2月24日

【Media】 DAYS JAPAN 市民のちからで存続を!

 月刊誌『DAYS JAPAN』の存続キャンペーン、3月9日まで継続中。

 あと13日ほどで240名ほど定期購読者を追加できれば、廃刊の危機は解消される。まともなメディアがほんとに少ないなかで、この雑誌を二度も死なせるわけにはいかんわなぁ。

 500人のひとが知り合い2人に声かけて、そんで、声かけられた4人のうち1人が定期購読者になってくれれば、存続! ── という皮算用。これくらい出来なきゃ、俺たちに明日はない ... んじゃないかしら。

 編集長であるフォトジャーナリスト、広河隆一さんの覚悟は、半端じゃない。彼は次のように語る。

=====転載はじめ=====
DAYS6周年記念イベントは過去に類を見ないイベントとなります。
なぜなら、廃刊するかそれとも存続できるかどうか、どの出版社にとっても社外秘とする内容を報告する会になるからです。
このような状況は、2004年のDAYS JAPAN発刊以来、初めてのことです。

存続できる人数まであと240人!
キャンペーン開始からすでに1300人以上の定期購読お申込みを頂きました。

〆切前日にはキャンペーンの結果が見えるので、9日のイベントで報告させて頂きます。
その際、今までの発売傾向や書店売上の傾向などを、編集長の広河本人が具体的な数字を出しながら説明させて頂きます。
刻一刻と迫る〆切を前に、まだ人数に達していない現状にひやひやしています。
しかし、今までご協力頂いた皆さまの想いを形にするためにも、すべての手を尽くして、イベントでは何としてでも「DAYS JAPANの存続が決定しました!」とご報告したいです。

皆さまから寄せられた沢山のメッセージで、DAYSの役割を改めて見つめなおしました。
存続の危機に立たされた今ほどDAYSの意義を自覚したことはありませんでした。
存続するからには、明確な意義、成果を果たす必要があります。

イラク戦争のあまりにもむごい光景は、戦争を許してしまった私たちにも責任があり、目をそらす権利はありません。
その想いが集まって生まれたDAYS JAPANが6周年を経て7年目を迎える今、これから先どんな役割を果たそうとしているのか。
メディアの姿が大きく変わったこの時代、どのように警鐘を鳴らし、私たちが世界中の人々とともに生きる権利を死守するのか。
まだ存続は決定していませんが、意気込みや希望をお話させて頂く予定です。

*****(後略)*****
=====転載おわり=====

【Felis】 cinco nhanco

 2月22日は「猫の日」(しかも今年は皇室歴でH22年)ということで、小生の勤め先=京都精華大の情報館が「猫の本」の企画、やってます。
  ↓
  ↓

(情報館というのは、図書館・映像ライブラリー・ITラボを融合させたような施設です。)

 企画ウェブページ(上記URL)の最後に写っているのは、情報館通用口あたりをシマにしているロンゲ猫(小生はかってに「アラブちゃん」と命名してます ── アラブ馬のようなたてがみがあるので! ── たぶん他の人は他の名前をつけている。精華大のねこ [ 現在 12匹識別 ]には、たいてい名前がいっぱいあってな...)

 実は、アラブちゃんには1号と2号がいて(そっくりさん猫がいる、たぶん姉妹)写っているのは、おそらく「アラブ2号」のほう(ひたいの模様が少しだけ違うので区別できる)。ここしばらく(数ヶ月?)二匹でいるところを見かけないので、どうしたのかにゃぁ。。。

【Movies】 だれか教えて〜(+_+)

 むかしTVでみた映画の題名が思い出せない
(...ああ、わが加齢)

── ドイツ(だったかオーストリアだったか)の山奥の寒村、天才的なオルガニストの男の子の話。村八分にあったあげく家を焼かれたり、才能を見いだされて街の大聖堂で凄まじい演奏を披露したり(疾風怒濤の曲想で燭台の列が吹き消されていくシーンは鬼気迫る!)、最後のほうは、高原の湖の静寂のなかで魂が解放される、、、
 というような感じの、ぜ〜んぜんメジャーではない映画(ドイツ語)でしたが、とっても魅せられ、引き込まれた。どなたか御存じでしたら、ご教示を!

2010年2月23日

【Libros】 穀物をめぐる大きな矛盾

 PARCの同僚理事である佐久間智子さんの新著『穀物をめぐる大きな矛盾』(2010年2月刊)は、おおいにお薦め。
 肉食と穀物分配の歪んだ現実に加えて、バイオ燃料増産がもらたす農業への深刻な影響(それは健康への影響ともなって私たちにふりかかってくる)の Big Picture がよく分かる。

筑波書房(ブックレット「暮らしのなかの食と農」43)750円
★直販は↓こちらから
http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-8119-0360-6.html

目次:
 1.穀物価格高騰の背景
   マネー投機のインパクト
   サブプライム・ローンと食料市場
   主食以外に使われる穀物
   飼料として消費される穀物
   輸送用燃料の原料とされる穀物
   トウモロコシ輸出大国である米国の変節
   輸入バイオ燃料の時代へ
   脅かされる食料生産基盤

 2.食肉とバイオ燃料が環境と健康に与える影響
   飼料生産の環境影響
   大規模・集中化が進む家畜産業
   不健康な家畜と不健康な現代人
   バイオ燃料のためのトウモロコシ生産拡大がもたらしたもの
   農地を広げてバイオ燃料をつくれば、温室効果ガスの排出が増える
   バイオ燃料では解決できない

 3.なぜ飢餓がなくならないのか
   下がらない食料価格
   なぜ貧しい国々食糧が行き渡らないのか
   債務問題がもたらした商品作物生産の拡大
   最貧国が主要食品を自給できなくなった訳
   米国とEUではなぜ農業に巨額の補助金が出るのか

 4.日本の食糧事情と、その背景
   最貧国から食糧を奪う日本
   先進国が支配する食料貿易
   米国の対日食料戦略
   農業基本法と農産物貿易自由化
   私たちの食生活に見る対米依存
   日本の食肉・油脂消費のフットプリント

 5.私たちの食生活を見直す
   近代農業のグローバル化
   中食・外食および加工食品の問題
   現代のフードシステムの裏側で
   私たちの分け前
   完全自給食メニューから分かること
   真に豊かで健康な食生活とは
   地域の農業を支える
   今の経済システムや価値観を離れる必要

★便乗して宣伝すると、PARC制作の映像教材『バイオ燃料』(DVD/ビデオ)もどうぞよろしく。
http://www.parc-jp.org/video/sakuhin/agrofuel.html



2010年2月21日

【env】色平さんと松平さんの対談

 カフェ「かぜのね」にて、色平哲郎さんと松平尚也さんの対談企画に顔を出す。なかなかの盛況。
 「見えないトウモロコシが私たちの食卓にあふれている」との松平さんの表現は、「世界の農地収奪」と「私たちの食べ方」の関係を端的にあらわしている。

 色平さんの締めの一句は、「肉食えば野菜好まぬ人となり医者だ医者だと騒ぐおろかさ」


2010年2月20日

【Aust】哀悼 Ruby Hunter 1955-2010

 シンガーソングライターのルビー・ハンター Ruby Hunter が亡くなった。2月18日のABC放送 7:30 Report の最後に tribute(追悼のフッテージ)が流れた。
http://www.abc.net.au/news/video/2010/02/18/2823999.htm
(リンクはたぶん3週間くらいは有効)

 アボリジニーの歌手のテープを最初に買ったのが、たしか1985年だったか、彼女の作品だった。ぼくと同い年だということは、訃報の記事で初めて知った。
http://www.abc.net.au/news/stories/2010/02/18/2823184.htm

 奪われた世代 stolen generation のひとりであることは知っていたが、Ngarrindjeri の出身であることは、うかつにも知らなかった。 合掌

2010年2月18日

【Env/Movies】 『ブルーゴールド』見てきました!

 昨日、東京出張のおり、隙間の時間があったので、Uplink(渋谷の小劇場)に足をはこび、映画『ブルーゴールド』を見た。

── う〜ん、映像満載なのはとても良いのだが、たくさんのインタビューが細切れに編集されていて、何も知らない/考えていない学生には(画像の刺激が強いわりに)咀嚼する材料が残りにくい ... かもしれない。教材としては中級レベルかなぁ。

 原作(集英社新書『「水」戦争の世紀』2003)を読んだうえでこの映画を見れば、イメージが明確に収斂すると思うが、逆にこの映画を先に見ると問題把握の幅がせまくなってしまうかも。

CEOのオリさん(以前、精華で講演してくれた)が出ていたのが嬉しい。なぜか以前より若々しく見える(?_?)

関西での公開は3月下旬から、七芸を皮切りに。
http://www.uplink.co.jp/bluegold/
http://www.nanagei.com


★関連して、こちらも必読
       ↓
バーロウ(Maude Barlow)/佐久間智子(訳)『ウォーター・ビジネス ── 世界の水資源・水道民営化・水処理技術・ボトルウォーターをめぐる壮絶なる戦い』作品社 2,400円

2010年2月15日

【Aust/Nuke】マラリンガ返還とイミュー訴訟

 雑誌『オルタ』2010年1+2月号の原稿です。3月初旬刊行かな。


核実験の土地を先住民族に全面返還

               細川弘明


 1950年代から60年代前半にかけて、英国はオーストラリア各地で大気圏核実験をおこない、多くのヒバクシャ(アボリジニー、豪陸軍兵士、英軍兵士)をうんだ。アボリジニーは土地を追われ、汚染された実験場は半世紀にわたって封鎖され、実態のよくわからない「除染作業」が続けられ、一部の土地はアボリジニーに返還されたり、代替地が提供されたりしてきた。

 そしてこのほど、南オーストラリア州の旧マラリンガ実験場のなかで放射能濃度がもっとも高いとされる「セクション400」という約3km2の区域が南オーストラリア州政府から正式にアボリジニーに返還され、20091218日、現地で返還式がとりおこなわれた。マラリンガ出身のアボリジニーや近親者あわせて数百名が式典に参加し、州総督から証書を受け取った。人々は涙につつまれたが、この日を見ることなく亡くなった人も多い。

 これで旧実験場のすべての土地がアボリジニーに返還されたことになる。土地は先住民法人「マラリンガ・チャラジャ」の共同所有となり、希望する人は移住地からここに戻って暮らすこともでき、そのための支援も受けられる。しかし現在も放射能レベルが高いため封鎖されたままの地区もある。

 英国はマラリンガでの一連の実験に先立ち、同州内陸部イミューフィールドで2回の大気圏核実験(長崎型原爆)をおこなっているが、その放射能汚染による健康被害の補償を求め名のアボリジニーが今年になって英国で提訴した。その弁護団長をひきうけたのが、なんとシェリー・ブレア弁護士(トニー・ブレア前首相の妻)だということで話題になっている。訴訟を支援する南オーストラリア州の「アボリジニー法律権利運動」(ALRM)のニール・ギレスピーはABC放送のインタビューに答えて、さらに100名近いアボリジニーが原告に加わる準備をしていること、ブレア弁護士が2月から4月にかけて訪豪し、詳しい調査をおこなうことを明らかにした。

 先住民族によるこの動きと並行して、エイボン・ハドソンら元兵士のヒバクシャも英国政府を訴える準備をしており、ブレア弁護士は彼らの代理人もつとめる意向であるという。

*本稿は、ABC放送2009年1111日、1218日、123日のニュースにもとづき構成。ALRMは、オーストラリア連邦の先住権原法(NTA1993 / 2009)で定められた「先住民族の地域代表組織」(RB)の認定をもつNGOである。オーストラリアでの核実験については、平凡社『世界民族問題事典』増補版の「マラリンガ」の項を参照されたい。



2010年2月5日

【Aynu/Art】 哀悼 cikapさん

 様似の大野徹人くんより、チカップ美恵子さんの訃報とどく。細川がアイヌ民族の社会運動とかかわるきっかけを作って下さった方だった。享年61歳、まだフチと呼ぶには若すぎるのに逝ってしまうとは。

(白血病で入退院を繰り返しておられた。) 合掌