於:京都精華大学 対峰館 T-109教室 18:00-20:00(20:40まで延長)
ドイツ Die Grünen(90連合/緑の党)副代表「脱原発と緑のアジェンダを語る」
前半は会場からツイート連投し(いわゆる tsudaり)ました。
後半、Macがバッテリー切れしちまいまして、途切れ、ごめんなさいでした。
誤字修正や内容補足を加えて、全体の記録メモを以下、公開いたします。(文責・細川)
IWJ 京都チャンネル1 によるUst 中継もありました。アーカイブこちら(約2時間40分、全録画)
【10月19日追記: 当初、ヘーンさんを「副党首」と記していましたが、緑の党の組織の仕組みからすると適切な訳語ではないとのご指摘を受けました。ドイツ連邦議会の会派として2名の代表と4名の副代表を置いているとのことで、必ずしも党首・副党首といった位置づけではないようです。ぴったりの日本語がありませんが、「副代表」という表記にあらためました。】
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ドイツ緑の党「脱原発と緑のアジェンダ」を語る
べーベル・ヘーン(Bärbel Höhn)さん、会場にいま到着(18:12)。若狭の原発を見て戻ってこられたところ。会場には学生よりも、学外からの来聴者が多い。
関係者もふくめ、50人ちょい、かなぁ。。。
司会の中尾ハジメさんが、ヘーンさんを紹介。緑の党の政治に対する考えは、僕らの想像を絶するくらいのものがある。「緑の党は政党に反対する党だ」ともヘーンさんはおっしゃっている。ぜひ考え方を聴きたい。通訳は高田知行さん(ドイツ在住30年)。
高田さんひとこと: 僕の仕事は、日本の伝統食品、醤油、味噌などのまともなのをドイツやヨーロッパで広げること。日本の原発事故でこれらの食品も危機にさらされているので、今回とりくんでいる。ヘーンさんというすごい肝っ玉母さん(誰もが知ってる大物政治家!)と出会ってお手伝いできて嬉しい。
ヘーンさん: さきほど「ミセス・グリーン」と紹介していただき、光栄。ドイツの工業地帯に暮らしていて、息子がぜんそくになった。大気汚染をなくしたいとの思いから、市民運動に参加した。
ただでさえ大気汚染がひどいところに廃棄物処理場が来るというので反対運動をした。それを皮切りに、市会議員、州議会議員、州の農業大臣、環境大臣などをつとめ、2005年からは連邦議会で環境や農業の問題にとりくんでいる。
議員・大臣になり、自分がこわしたかったものをこわすこともでき、やりがいがある。福島を訪れ、心に残ったこと、皆さんにお伝えしたいことが幾つかある。飯舘村の菅野村長の言葉「原発事故は一自治体で対応できるレベルのことでない。村人にとって何がよいか、とても解決ができない問題。」
飯舘村の意識としては、原発は遠くにある、というものだった。防災の準備もなかった。それが自分たちの運命を変えることになった。地域の問題というよりは日本全国の問題となる。コストも最終的には全国民に押しつけられるだろう。
福島市でもホットスポットがたくさん発生。原発から福島市の距離は、今日わたしが見てきた若狭の原発から京都市までの距離とあまり変わらない。若狭の原発で事故がおこれば、皆さんの町が福島市と同じ状況に投げ込まれる。
東京での講演会で、事故がおきて日本では原発をめぐる政策があまり変わらない。しかしドイツでは急展開があった。その違いは何なのか、という質問を受けた。それはなぜなのか、お話ししたい。
ドイツではまず老朽化した8基とめて、その他の原発も順次止めていくことになっていた。スイスは2034年までに原発全廃することを決めた。イタリアも国民投票で原発を使わないことを決めた。実は福島事故前から、世界的には、原発をなくす方向に動き始めていた。
3つのテーマをお話ししたい。1)ドイツでは脱原発の政策がなぜ支持を集めるようになったのか 2)脱原発後のドイツのエネルギー政策、3)原子力のない社会のビジョンとは何だろうか。
ドイツ統一の象徴であるブランデンブルク門での脱原発の大規模デモの写真。緑の旗(緑の党)が目立つ。福島事故の1年前におこなわれたアクションの写真。2つの原発のあいだを人間の鎖でつなぐというアクション。もう1枚写真、稼働中の原発の危険を訴える大規模デモ。
核のごみの輸送(フランス → 独ゴアレーベン)への反対、3代にわたる闘い。老人達も線路に鎖で自分の体をつないで抵抗するという、とても激しい闘いだった。最終処理場では100万年のあいだ安全に核のごみを管理しないといけない。ありえない話。2万世代の人間が責任を負うという非合理。
100万年前はわたしたちは類人猿だった。それだけの長い未来に核のごみのリスクを伝えていくようなことできない。バベルの塔ですら3千年前のこと。塔がどこにあったかすら今ではわからない。100万年先の人たちに場所を伝えることすらできないだろう。
市民の運動はデモだけではない。ひとりでも脱原発をしていこう、という発想があった。原発を運転する大きな電力会社から、自然エネルギー中心に運転する小さな発電会社に契約を変えていくというのも大切な運動のかたちだった。独立電力業者のポスターなどをいろいろ紹介。
福島の事故後にドイツでおこなわれたバーデン・ヴェルテンブルク州の総選挙の票の動き。緑の党が12.5%伸びて、他の政党はみな支持を減らした。ドイツ緑の党(Die Grünen)の理念は、環境保護、女性の解放、平和運動、反核・脱原発。
既成の党のかたちをとらない党でありたいと私たちは語り続けてきた。当初の支持者は若い世代。別の選択肢を提供するということに大きな意味があった。(ドイツでは働いてから大学に行く人も多いので、学生の年齢は日本の学生よりもずっと高いです。)
既存の政党は経済活動とリンクしているが、国民の幸せを大事にしているとは言えなかった。緑の党は、地球の制限のなかで、持続的な幸せを追求。「2つめの地球はどこにもない」というスローガン。
さまざまな運動や社会的な潮流が緑の運動に流れ込んで、議論を重ねた。環境・社会的公平・平和・草の根民主主義という4つの柱がその過程で固まってきた。1980年に結党、83年に初めて連邦議会に議席(5%条項を突破)。
85年、ヘッセン州政府の環境大臣に緑の党のフィッシャー代表が就任。ジーンズにスニーカーで登院し、物議をかもした。ドイツ統一後、一時、議席を失ったが、その後、連邦政府の連立に参加。
はじめの頃、緑の連中は頭がおかしい、とも言われてきた。それが何故、支持を集めるようになったのか。脱原発を唱えるだけでなく、別の選択肢があることをはっきり示したことが決め手だった。再生エネルギー法(EEG)を立案し、実際に自然エネルギーの普及に貢献してきたことが理解された。
1999年(緑がSPDとの連立政権に参加した年)には、まだ原子力は発電の30.6%を占めていた。今は17%に落ちて、自然エネルギーが20%になった。2011年前半に逆転した。
しかし、これはあくまで中間点にすぎない。2023年にすべての原発を廃炉にし、電力の4割を再生エネルギーでまかなう。これは、他の政党もほぼ同様のビジョンを持つに至った。保守的な党でも、自然エネルギーで3割と見込んでいる。
洋上風力の伸びが大きい。光発電も2004年以降、一気にのびた。とくに2009-2010の急伸が大きい。再生エネルギーの活用も大事だが、それよりさらに重要なのが省エネ(効率化)。トップランナーの考え方とスマートグリッドが鍵。2020年までに20%効率化をめざす。
原発の無い社会のビジョンでは、エネルギー構造がまったく変わる。これまでドイツでは3つの巨大な電力事業者が寡占している状態。彼らが原発を進めてきた。政治に大きな圧力をかけ、また大きな利益を追求してきた。電力価格も彼らの都合で高い方向に持って行かれた。
電力会社の利益総額の推移をグラフで見る。2002から2007年で利益が3倍になっている。彼らが価格を自由にできるからこそ、こんな事態になった。2008年にはE-on社(大手のひとつ)が投機で大損したので利益が落ち込んだ。
巨大資本・巨大設備から、小さな地域にねざした設備への移行が脱原発のかなめ。再生エネルギー法により、自然エネが利益を生む仕組みができた。市民の手に発電手段が取り戻された。巨大会社はとてつもなく高い利益率を求める。電力大手は40%もの粗利率をあげていた。独占企業ならでは。
市民が出資する地域エネルギーでは、そんな巨大な利益率を求める必要はない。再生エネルギー法が提供する3.5%程度の利率で十分。再生エネルギーへの転換で、ひとりあたりのCO2排出量の十分な削減ができる。原発無しで低炭素社会にむかうことができる。
ドイツ人がみな理想主義者だから脱原発にむかっているのではない。人々にとっての利益もあることが理解されたからこそ支持された。再生エネルギー事業による雇用の伸びが明白になったことも重要。原発分野では雇用はどれくらいだと思いますか? 全ドイツの原発雇用は約3万人。自然エネで40万人。
グリーン・エコノミーの分野での経済成長が大きいということが明らかになったことも緑支持の大きな要因。水の有効利用、リサイクル、グリーン技術などが高い成長率をあげている。緑の党だけでなく、経済学者や企業コンサルの人たちもこの成長率に注目している。
エネルギー転換、グリーン技術への転換が、自動車産業よりも重要な分野となる。リーマンショック以降、ドイツ経済がなんとか生き延びてきたのは、グリーン技術の分野での伸びが大きい。
金融危機、経済問題、気候変動問題、原発のリスク ── これらは実は同じひとつの根っこから来ている。経済と環境は対立するものでなく、調和によるグリーン・ニューディールが求められている。金融危機と環境危機を同じ方法で克服するのが私たちの時代の挑戦だ。
電力会社は3%の利益率では満足しない。どん欲な利益追求型の構造を必要としている。投機にも手を染める。損失は国民が補填するもの、と考えている。これは東京電力もまったく同じ姿勢。利益はすべて自分たちのもの、事故の賠償は国(国民)に肩代わりさせる。利益を個人化、損失を社会化という構造。
政治の役割は、ガードレールをきちっと立てること。国民の安全と幸福が成り立つような経済のかたちにむけて規制をかけていくこと。金融については投機が無税で実行可能という状態を止めないといけない。投機に税がかからないのは絶対おかしい。トービン税などの導入が必要。
世界で次々におこる金融危機は各国国民で支えられる事態ではない。どん欲な利益を求める少数の人たちによって起こされている事態。国際的な平等と公正を確保しないといけない。途上国で飢餓がおこる構造を解消しないといけない。
以上、べーべル・ヘーンさんの講演。
7分休憩ののち、質疑応答に入ります。
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司会(中尾ハジメさん): 再開します。あまりにも日本社会の動き方と違いすぎて戸惑うところも多かったと思うが、何か切り口をみつけて、どうぞ皆さん質問してください。
【★当日は、使っていたMacBookProがここでバッテリー切れ、中継途絶えてしまいました。ごめんなさい。】
フロア男性(ハシムラさん?)Q: チェルノブイリ事故があったし、IAEAもウィーンに本部がある。ヨーロッパではだいぶ前から反原発の運動があったのでは? EU各国政府やIAEAは各国の原発のリスクに何らかのガイドラインを示すなどという対応はとってきたのか?
ヘーンさんA: ドイツで脱原発の運動を進めるのには大変な苦労があった。ドイツでも原子力産業、原子力ロビーは非常に強力な存在。EU全体でみてもそう。ウィーンに本拠をおくIAEAも原子力推進が前提なので、彼らが「脱原発」を考えることはありえない。既存の経済と政治のかたちを維持促進していこうということにしかならない。しかし、脱原発は国民の思い。私たちには理想と想像力があった。向こう側には強力な資本がある。そのあいだの闘いです。
和田喜彦さん(同志社大)Q: ドイツでは原発倫理委員会の人選で産業界の息のかかった人は入らなかった。日本では調査会などに電力会社や産業界の利権をしょった人が多く入り込む。この違いはどこから?
ヘーンさんA: ドイツでは突然「脱原発」が決まったわけではない。前の連立政権(SPD+緑)で脱原発の方向性はいったん決まっていた。それが2009年の政権交代(SPD→CDU)で見直され、2010年に「稼働延長」が決定された。ところが国民の反撥が非常に大きかったところへ、福島事故。311はドイツにとっても本当に衝撃だった。日本という技術先進国で起きたことをドイツでは非常に深刻に受け止めた。メルケルは、このままでは政権を失う、と判断。ふたたび脱原発へと舵を切った。この方向転換に正統性を与えるために倫理委員会を構成した、という経緯がある。委員会のトップには、保守党(CDU)の重鎮(ペッパー元環境大臣)を据えた。与党の内外に説得力をもつような委員会にせざるをえなかった。
小林圭二さんQ: 雇用の問題は政策を変えるときの大きな要因になっている。再生エネルギーの雇用力には驚いた。40万人という、原発の10倍以上の雇用力、その中身は? 再生エネルギーはメンテフリーなので雇用力は小さいと思っていたのだが。
ヘーンさんA: ソーラーパネルの場合、市町村の家庭の屋根につけていくので、屋根で工事をする人たちが必要。地元の職人の小さな職場、手工業を支えることになる。
風力でも太陽光でもバイオマスでも、新しい設備産業・部品産業が輸出市場を手に入れたのが大きい(再生エネルギー設備の海外への輸出により、仕事が増えている、という意味)。風力発電設備ではドイツのメーカーは40%を達成している【★収益の4割が輸出によるもの、という意味なのか、世界シェアの4割を占めている、という意味なのか、不明】。
農業地帯では農家の雇用を確保するという効果も生まれている。農場に風車などを設置して電力を売ることができるようになったので、再生エネルギーの副収入で農業を続けることができる。風車1基たてれば土地代として年間8000ユーロ(100万前後)、5基たてれば400万から500万の定期収入になる。酪農ではミルク価格の変動が大きいが、売電の副次収入があれば酪農を続けることができる。農家の雇用を守るという効果がはっきり生まれている。
巨大施設に巨大な資本を初期投資する原発は長期的な雇用に結びつきにくいが、再生エネルギーでは中小の新しい設備が次々に設置されていくので、鉄鋼産業もアルミ産業も、ネジなどを作っている加工産業も長期的にうるおう。少ない資本で高い費用対効果を生んでいる。
ヤスペル(?)さん(ドイツラジオの記者)Q: 私の質問はここにいる学生の皆さんへの質問。学生の皆さんはヘーンさんに何を訊きたいですか?
女子学生(マンガ学部)Q: 風刺漫画の勉強をしています。2つ質問したい。1)ドイツの原発で働いているのはどういう人たちですか? 2)日本は事故で惨めなことになってしまったんですがドイツの人は何をしてくれますか?
ヘーンさんA1: ドイツでも原発は決して良い職場ではない。派遣労働で次々と人を入れ替えていく。ドイツの労働者は比較的よく法の保護を受けていると言えるけれど、派遣労働者は一般労働者ほど守られていない。特に原発は被曝の問題があるので、人を次々と替えていく。
ヘーンさんA2: 緑の政治の基本は、何か悪いことが起きないように予防する、先取りして手をうっていくこと。事故が起きないために何をするか、ということが決定的に重要。起きてからどうする、という発想で考えていない。だから、あなたの2つめの質問は私たちにとって、とても難しい。
福島はとても厳しい状況だが、事故時の風向きで放射能の大半が海方向に流れたのがまだしも幸運だった。そうでなければ汚染はもっとひどいことになった。次の事故のとき、このような幸運は約束されていない。そういう事故になったら、どんな政府でもウソをついて誤魔化す以外、何もできないだろう。日本の首都圏人口3500万人を避難させるようなロジスティクスを用意することは、どんな優れた政府であっても不可能だからだ。
飯舘村の菅野村長も「ベストの対応がどうしても出来ないのが原発事故の本質」と仰っていたが、私もこの言葉に深く同意する。
女子学生(人文学部)Q: 「声をあげない」と言われる日本社会でも、今回の事故で少し声をあげ始めていると思う。でも声が届かない。声の届かない社会を変えていくには、具体的にはどうしたらよいのか?
(司会者が「ではこれで最後の質問」と前置きして上記学生をあてたのに対し、ヘーンさんは「女性のクォータは緑の重要な原則です。ですから、女性による質問の数が(全部の質問数の)半分になるまで、私は質問に答えます」と宣言! 会場拍手)
ヘーンさんA: この半年でいかに反対運動が続いてきたが、ということが重要。3月にはほんとに少数の人でたちあがった子どもを守る福島の運動も、政府交渉を粘り強く続け、次第に大きな支持を集めている。皆さんはそのことをもっと評価してよい。福島事故はこれから何十年も続くのです。まだ半年しかたってない。人びとが目覚め、行動をおこしつつある。その動きはもっと拡がり続ける。
数で考える必要はない。ドイツやイタリアの大規模デモは「伝統文化」のようなもので、日本ですぐ同じことが起こるわけではないでしょう。数よりも大事なのは効果。都市の人たちに「あなたの問題だ」と伝えることが大切。どこでも飯舘村になりうる、ということを伝えていく。
若狭で反対運動を続けてきた人たちと今日お話しすることができた。美浜原発での事故についてどのようなシミュレーションをして、どのような対策を用意しているのかという問いを(関電や行政に)投げかける。そうして出てきたものがいかに杜撰であるかを多くの人に知らせていく。行動、アクションは、金が無くとも智恵をしぼり、カラフルでクリエイティブで楽しいものにすることが大切。日本のマスコミはデモを報道してくれないという不満を皆さんは持っているかもしれないが、メディアは奇抜なもの・新しいものには必ずとびついてくる。そういうのをどんどん!
脱原発とは「より良い世界」を求めること。より良い世界とは喜びが生まれる世界。それを求めるアクションも喜びの感情を生むものでないといけない。
みどりさん(フロア女性): 孫が4人いるおばあちゃんです。チェルノブイリ事故のとき5歳くらいだった娘と一緒にデモをした。市役所から円山公園まで歩いた。娘はそのときのことを覚えてくれていた。今年の9.11では、その娘の子どもの手をひいてパレードした。円山公園から市役所まで歩いた。奇抜な格好(私はカトチャンの禿かつら、孫はアンパンマン)で歩いたので、案の定、毎日新聞が写真を大きく載せてくれた。精華大の学生さん、奇抜で、creativeで、楽しいこと、一緒にやりましょう!
下村季津子さん(環境市民)Q: ドイツは長い議論をへて脱原発・エネルギー政策を決めたのだと思う。日本では議論の材料となる情報を市民が手に入れることが難しい。賛成反対という以前に「どちらか分からない」という人が多かった。いま原発の再稼働をめぐっても、「(再稼働しないと)産業が空洞化する」云々といった産業界の主張をマスコミがそのまま書いている。ドイツでは国民の議論の材料となる情報をどのように入手し、どのように拡げているのか?
ヘーンさんA: 70年代、ドイツの若者たちは理想にもえていた。その人たちの多くが教師になり、教育の場で子供たちに核や原発の問題を伝えた。今の若い世代が「緑」をふつうの選択肢として見るのは、その成果。以前は、緑の党には老人世代の支持が少ないという弱点があったけれど、70年代の若者たちも今や老人になってきたので、最近は両方の世代の支持を集めることができている。
日本では原子力推進の教育が徹底されてきたようなので、これは大変だと思う。飯舘村や福島市で頑張っている若い人たちは、自分たちでデータを集め、よく考えて、明らかにおかしいと思えることに対して正面からぶつかっている。これはドイツで70年代の若者がしなければならなかったことと同じだ。ドイツでは世の中が変わるのに30年を必要としたが、日本ではそれほど年数がかからないだろう。大手メディアは広告収入に支配されているが、いまやブログやフェースブックのフォーラムなど70年代には無かった手段で十分対抗できる。情報が無いという状態に風穴を開けていける。
EUでは「環境情報権利法」を求める動きが強まっている。環境にかかわる情報を知る権利が市民にはある、という考え方にもとづくものだ。日本でもぜひこの動きを広めてほしい。
【会場拍手】
司会者(中尾ハジメさん)終わるまえに紹介しておきたいことが3つ。
●あれほどの事故が起きたのに私たちはどうして動かないだろうかという疑問があります。メルケル(ドイツ連邦首相)のような人でさえ、世間の動きを見て「脱原発」に切り替えた。たくさんの人が反対しているということを見せないといけない。会場の後に「さよなら原発1000万人署名」の紙が、お持ち帰り分も含めてたくさん置いてあります。たくさん持って帰って、たくさん署名集めてください。1000万人あつめましょうよ、お願いします。
●今日は岩上ジャーナル、IWJ の岡田さんにずっとUstream中継していただきました。録画もあとで見ることができます。今日来られなかった人にも知らせてあげて下さい。【 http://www.ustream.tv/recorded/17865876 】
●明日の1時半からは(京都五条の)「ひと・まち交流館」でまたメルケルさんが登場されます。[ メルケルじゃないよ! ] あ、メルケルさんじゃなくて、みどりさんでもなくて(会場笑)ヘーンさんです! パネリストに宮台真司さんも来られます。5時半までなので、4時間以上たっぷりお話しきけます。ぜひ参加を。
ヘーンさんから最後にひとこと。。。
ヘーンさん: 10年後に皆さんとお会いするときは、脱原発を達成した国、エネルギーシフトを成し遂げた国の人びととしてお会いできることを楽しみにしています!
予定を40分近くこえ、20:40頃、終了。
誰かが「集合写真を撮りましょう、記念写真を!」と言って、準備にかかる。こういった団塊世代的感覚には、どうもついていけないので、あたしは離脱。
【10月19日追記: 写真はこちらを御覧ください。】