国連軍縮週間シンポジウム
「核なき世界」への新局面
── 原発、プルトニウム、核兵器
2012年10月28日(日曜)14:00-17:00
於:明治学院大 白金キャンパス2号館Rm2101
主催: 核兵器廃絶日本NGO連絡会 + 明治学院大学国際平和研究所(PRIME)
※以下のノートは、細川による未編集のメモです。敬称略。
(これからもう少し整えますが、とりあえず速報のために公開 ── 誤記などお気づきのことあれば、km285@me.com までお知らせください。)
当日の配布資料と発表スライドの一部は☞ こちら
【更新記録】
2012.11.3 国連総会第一委員会の声明へのリンクを張りました。
2012.11.4 赤十字の2011年11月の決議についての部分、組織名と略称の記載を訂正し、決議テキストにリンクを張りました。野村民夫さま、赤十字国際委員会(ICRC)駐日事務所さま、ご指摘とご教示、どうも有難うございました。なお、朝長先生の発表スライドの1頁め、3.の「IDRC」は IFRC の誤記と思われます。
開始時点で(スタッフ含め)50余名、終わる頃は約60名の参加
(0)森瀧春子(核廃絶をめざすヒロシマの会・共同代表)開会挨拶
・来年、オスロでノルウェー政府呼びかけにより「核兵器の人道的影響」についての国際会議
・日本政府の核政策の実態 ── 「2030年代の原発ゼロ」と「核燃料サイクルの維持」「原発輸出」という矛盾した方策
・「平和利用」と軍事利用を一体化させようという流れ
・日本が「核燃サイクル」を維持することの意味を鋭く問い質していかないといけない。
・福島の甚大な被害に対して、援護法の制定をはじめ、支えていかないといけない。被害の原点に立って運動を進めていくことが必須。
・核を否定しないかぎり、人類が核に否定されてしまう。核の非合法化をめざしていく。
第一部「「原発ゼロ」とプルトニウム問題」
司会=高原孝生(明学・国際平和研)
(1)Prof. Frank von Hippel (Princeton University)
- Been involved 35yrs in this issue, esp. the debate over reprocessing and breeder-reactors.
- Most important thing is to move away from plutonium.
- IAEA projection 1975 - growth of NP up to 2000+ GWe by year 2000 - then not enough uranium, therefore belief in the need for breeders.
- now IAEA projection (2012) is as low as 500-1100 GWe of nuke power generation worldwide. Reprocessing/breeding no longer necessary with this updated projection.
- USA 10 yrs of nuclear policy reform:
1974 NRC set up - distrust on AEC.
1977 reprocessing (1500t/pa) cancelled; then, Pres. Carter tried to persuade Japan not to start up Tokai reprocessing pilot plant (100t/pa) in vain.
1981 Pres. Reagan lifted the reprocessing ban; but utilities afraid of economic burden, asked Gvt to prep a spent fuel repository - Nevada chosen - local opposition - 2010 Pres. Obama abandoned the project - set up Blue Ribbon Commission to discuss the siting issue anew.
1983, Crinch River breeder-reactor (US equivalent of Monju) cancelled by the Parliament, due to 10x cost increase.
- 9000kg separated Pu possessed by JPN domestically, equiv to 1000 bombs, if terrorist get 8kg of it, all the cities in the world put in jeopardy.
- JPN is the only non-NKweapon country that separates Pu. Korea requires the same right, other countries show interest as well. The JPN case is a destabilizing factor of NPT regime.
What reprocessing does and why it's dangerous?
- Spent fuel contains 1% Pu. (500kg 4m) at 1 meter 30mins yields a lethal dose. - very difficult for terrorist to steal them (20t canister necessary). Once separated, much easier to handle (and steal!) - three cans of Pu = one Nagasaki bomb.
A non-nuclear explosion of a nuke warhead -> 10kg of Pu - 100x1000s of cancer deaths.
Separated Pu is a major obstacle to nuke disarmament (see slide, p.2 左上)
Warning by Aomori Governor, if Gvt abandoned reprocessing then
- Aomori will no longer keep returned HLW.
- Mutsu interim depository won't get approval.
- Spent fuel at Rokkasho will be sent back to respective origins (i.e. reactor sites).
Dry-cask storage is much cheaper, much safer, and much quicker to construct.
Cask cooling function - air cooling and convection (no meltdown)
Absorbs neutron, i.e. no chain reaction
If water lost at 1F pools, then Tokyo wd need to be evacuated.
Dry casks - no safety concerns even at 1F, even tsunami washes the site.
All you have to is put spent fuel in the dry casks!
Most NPP countries uses dray casks (Germany, France, US) - over 40yrs now.
Germany gave up reprocessing - built storage for spent fuels (dry casks in tunnels)
In JPN - dry casks in Tokai and 1F.
1F, plan to remove spent fuel from the central pool to make rooms for the damaged fuel of the three reactors.
Temporary dry cask storage bldg - as in Germany - simple structure , now copied by Tepco.
-what JPN to do with 44t+ separated Pu
(18t in France, 17t in UK, 9t in Japan)
if rokkasho starts up in 2012, then 8t added each yr.
Plan was to use most of them MOX - unrealistic.
Thus, crazy to start up Rokkasho.
FBR too expensive and unreliable.
"99.8% reduction" is not true - 80% at most, as transuranic remains in the reprocessing waste.
two realistic choices:
1) ceramic immobilization - burial together with spent fuel and vitrified HLW
2) solidification and burial in deep bore holes.
Other countries also in trouble with Pu burial issues.
USA - 50t excess Pu from weapons and breeder RD.
Reprocessing does NOT alleviate the waste problem. No evidence that reprocessing helps the problem.
1 cost
2 risk of surface leakage more or less equals risk of underground leak and reach to the surface via groundwater
Abandoning reprocessing means less cost and less danger + less proliferation probabilities.
Different (i.e. contradictory) pieces of message from US to Japan as regards reprocessing.
JPN's importance to the US nuke industry:
- Toshiba owns Westinghouse
- Hitachi partner of GE
- JPN involved in 3 of the 4 major suppliers to the world NPPs.
Expression of concerns from US Govt:
- if JPN quits, then the market will be dominated by Russia/China/others who care less to non-proliferation or to the security.
International nuke management regime now dominated by US/EU/JPN - not by the numbers of reactors they operate, nor by the amount of separated Pu they possess, but by the numbers of experts, who will remain influencial even with much less numbers of reactors in operation.
Debate in USA
- spent fuel put into dry casks on site; as long as reactors are in opertions, it is reasonable to keep the casks on site; but, once the reactors got shutdown, then where to deposit the casks is a hard question.
- South Carolina miliary reprocessing plant - central storage also offered.
Putting spent fuel 500m undergroud is, in my perspective, the lowest level of danger/concern, compared with the misuse of nuke weapons (top level concern) and the danger of Fukushima-Chernobyl type (the second highest concern).
15:25 終了
第二部「核兵器禁止への新しい動き」
司会=柏原 登希子(ふぇみん婦人民主クラブ)
(2)川崎哲(ピースボート、ICAN)
「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の動き」
・核の非人道性と非合法化(国連総会・第1委員会)の35ヶ国声明(2012年10月)、日本政府参加せず。
・ICAN = 核兵器禁止条約を求める世界キャンペーン、2007年にIPPNWから発足
来年オスロ「核兵器の非人道性」に関する国際会議
・2010年NPT会議の総括声明で「非人道性」への考慮が言及された。2011国際赤十字「核兵器の非人道性」を決議。軍事問題から人道問題にframeが変わってきた。
・2012年5月 スイス、ノルウェー、デンマーク、オーストリアなどNATOの核の傘に入っている国も含め「核
の非人道性」に関する共同声明、国連に提案(日本は誘われなかった「我々の主張を薄めるであろう国には声をかけなかった。」と川崎は関係者から聞いた。)
・「核の飢饉」核の冬による農業への影響
・日本政府の立場「人道の精神には反するけれど、国際人道法に違反するとまでは言えない」
・2012年8月 ICAN広島会議「破滅的な人道上の危害」 → オスロ会議(2013年3月)から「核兵器禁止条約」にむけた交渉開始、という方針。非核国に重点。
・2012年10月「人道的軍縮」サミット、ICANも参加。新しい観点の軍縮運動の開始
・オスロ会議(政府会議)のポイント 1)核兵器の即時的影響、2)長期的影響 3)人道救援の困難性
3については福島でも大きな問題となった。
・会議自体は科学専門家の小規模会議、「人道上の結果」と「国際人道法」の関係を明らかにする。
→ 日本をどう動かすか=日本で何をするか
(3)朝長 万左男(核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員会)
「「核の非人道性」オスロ会議に向けて」
・「国際赤十字・赤新月運動」による2011年11月決議のもつ意義(追記:赤十字国際委員会 ICRC、国際赤十字・赤新月社連盟 IFRC、および30ヶ国の赤十字社/赤新月社による共同決議)
・ジュネーブ条約「禁止兵器」 ── 核兵器を加えるよう求める運動、冷戦下では禁止は無理、核被害の救援に目標を絞った(トーンダウン)。冷戦終了後、「核兵器に関する議論が軍事・政治の考慮のみでなされるべきではない」とICRC総裁の2009年声明。「人道法の基本原則および人類全体への将来への考慮」のもとで議論されるべき。法的拘束力のある条約の必要性。
・ICJの勧告的意見1996「核兵器の使用は国際人道法の定める理念とは一般的に両立しない」 → 赤十字としてICJ勧告を支持・再確認、国際法での明文化にむけて努力することを赤十字の任務とした。(歴史的決議)
・広島長崎ヒバクシャ、白血病、早くに第1ピーク、現在は第2ピーク。
・原爆の非人道性 ── 核兵器の本質論
無差別
多重性(3回殺す)爆風・熱線・放射能
生涯持続性
救援が困難・不可能な状況を生む(医療施設をふくむインフラを破壊しつくす;入域被曝をもたらす)
・オスロ会議直前のNGO会議(3月2日・3日)
(4)金マリア(ピースデポ、from韓国)
「PNND国際会議「核実験禁止から核兵器のない世界へ」
・8/27-30 於:カザフスタン、アスタナ市
・セメイ市---セミパラチンスク実験上の最寄り都市
・ナザルバエフ大統領の基調演説 国内法で核兵器使用を禁止、核実験場も閉鎖
・ATOMプロジェクト(核実験反対オンライン署名)abolish testing our mission 大統領主導で政府として取り組み。永久的禁止、CTBTの早期発効、大統領の個人的ビジョンでもある。
・一方で、カザフスタン政府は原発を推進。会議でそのことを批判した人は、限られていた(ギリシャの議員などは明確に批判)。
・パネルセッション1「包括的核実験禁止条約 ── 核のない世界の礎石」
・カリプベク・クユコフさん(セミパラチンスク被曝者、ATOMプロジェクト名誉大使)
・パネルセッション2「核兵器のない安全保障 ── 非核兵器地帯」非核地帯の設定が安全保障につながる、という視点。たとえば、北東アジア非核兵器地帯が北朝鮮問題解決の枠組みとなる(ニュージーランド代表の発言)
・ダニエル・ベンシモン議員(イスラエル)「地域の平和は世界の平和につながる」と主張。
・核廃絶にむけた議員アピール(最終日に採択) ── 多様な視点が反映されたテキスト、興味深い。
(5)中村桂子(長崎大・核兵器廃絶研究センター RECNA)
「非核兵器地帯をめぐる新しい動き」
・「ズレを質す」(田上市長)日本政府は“核廃絶”を言いながら、廃絶にむけての国際的な動きには非協力的。
・長崎平和宣言2012 - 国連での共同声明と呼応する内容(非人道性)が含まれたが、日本政府が声明に賛同しないということで、ただちに市長として外務省に申し入れ
・長崎の声(国連声明への共感)が外務省にとって何の脅威にもなっていない現状
・世界に広がる非核兵器地帯、既存のどの条約も成立前には「絶対無理」と言われていた → トラテロルコ条約、ラロトンガ条約、バンコク条約、ベリンダバ条約、南極条約、中央アジア非核兵器地帯条約、モンゴル非核兵器地位 ── これら既存の条約を強化しようとする動きも(eg.バンコク条約の議定書批准問題など)
・「非核兵器地帯」の3要件 1)核兵器の不存在、2)消極的安全の保証(核使用・威嚇を禁止) 3)条約機構の設置
・スリー・プラス・スリー(3+3)構想=日韓朝が「北東アジア非核兵器地帯」(非核三原則)を締結し、米中露が日韓朝を核攻撃しないことを保証する議定書に署名する、という方式。
・モートン・ハルペリン氏(米国、クリントン政権で米朝交渉にかかわった国際政治学者)の提案
「北東アジア平和安全保障条約」
1 朝鮮戦争の戦争状態の終結
2 安全保障に関する恒久的協議会の設置 6ヶ国協議を母体に支援組織をふくめて創設
3 敵対的意図がないことの相互宣言
4 核その他のエネルギー支援
5 制裁の終結/条約違反への対応
6 非核兵器地帯の創設(3+3構想がベース)
(6)林田光弘(明治学院大学・学生、サークルPeace☆Ring)「学生の動き」
・BANG-NEAのキックオフ 欧州のBANGの北東アジアでのカウンターパート
・学内で Caf? de PRIME
・SNSによって活動の「敷居」が下がった
・T.A.Z (temporary autonomous zone)首相官邸前のデモと連動して実施、公園などを臨時の自治オキュパイ空間に。
・「複雑化したシステム依存」 → 思考停止 → 答えがない 一般市民の思考停止をどうするか、生き方を問われている。自分で考え自分で決める、お任せで文句たれる社会ではなく、感じ考え共有する社会をめざす。「創」(キズ)というコンセプト。
以下、会場との討論:
- 「先制不使用」宣言、クリントン政権ができなかったのは、日本の反対があったから。米国への従属というのと別次元で、日本が足を引っぱっている側面があり、私たちはそれを直視しないとダメ(田窪・川崎)
- IPPNWの日本支部は(国際本部とちがって)「平和利用」と核兵器の問題を十分議論できていない。(朝永)
- 放射能の危険は「潜在的兵器」、敵がはっきりしていなくても兵器以上の脅威を与える。(金)
- 兵器使用と原発事故の両方を経験した国は日本だけ。両者に共通する非人道性の側面を明確に世界に伝えるべき。原発事故後の汚染が社会を分断し、それが人々を苦しめるだけでなく、救援を困難にする、という側面に注意したい。(細川)
- オスロ会議自体は、専門家会議なので、非人道性のエビデンスの検討が中心になる。市民の動きとして、そこに何を訴えるかは別の戦略が必要。(川崎)
17:40終了