2004年10月5日

【Aust/Env】 オーストラリア:総選挙、タスマニア原生林

 9月27日のログに書いたオーストラリア総選挙(今週の土曜日が投票)の一大争点であるタスマニア原生林の伐採問題

 昨日、労働党(最大与党)が発表した森林政策(公約)は、予想以上に踏み込んだマニフェストで、環境団体や緑の党からは喝采を浴びているが、地元タスマニアの伐採業者や労働組合からは激しい反発を受けている。

労働党のレイサム党首の公約の要点は:
-原生林での新規伐採計画を凍結する
-保全価値が特に高いとされる24万ヘクタールの原生林については専門家委員会の検討に委ねる
-伐採労働者の別領域での雇用を確保するための
-植林地での林業を強化する

 上記の24万ヘクタールには、ターカイン原生林、スティックス渓谷、東山脈の森、西山脈の森など、これまで環境保護グループと伐採企業・労働組合とが、それこそ血まみれの衝突を繰り返し、「伐採禁止か皆伐か」で鋭い対立が続いてきた地域が含まれる。専門家委員会は主に環境保全や生物多様性の維持に価値をおくことになるだろうから、検討対象となる原生林の大部分は開発禁止区域となるだろう。

 タスマニアは労働党が州政権を握っていて、これまで伐採容認の立場をとってきた。今回、連邦労働党が選挙公約として、このような森林保全策を明確にしたことは、州の労働党にとっては、板挟み(労働組合からの突き上げ!)の地獄を意味し、9日の総選挙でも州の議席のいくつかを失うことになるだろう。しかし、連邦レベルで見れば、労働党の環境政策がすっきりと分かりやすいものになったと言えるし、これによって(9月27日のログに書いたように)緑の党からのプリファレンスを獲得する効果も大きいだろう。

詳しい報道は:
http://www.theage.com.au/articles/2004/10/04/1096871820641.html
http://www.theage.com.au/articles/2004/10/04/1096871814850.html
http://www.theage.com.au/articles/2004/10/04/1096871814873.html

http://www.news.com.au/common/story_page/0,4057,10973661%255E36596,00.html
http://www.abc.net.au/news/newsitems/200410/s1213072.htm
http://www.abc.net.au/news/newsitems/200410/s1212010.htm

なお、先住民族(アボリジニー)の立場については、民主党(The Australian Democrats)のリーダーであり、グンバインギル・アボリジニーでもあるエイドゥン・リジウェイ Aden Ridgeway上院議員が再度コメントを発している。
http://www.abc.net.au/news/newsitems/200410/s1212752.htm


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