2004年10月1日

【Paz】 今井くんからのメール

 ついさきほど、札幌の越田清和さんから、今井紀明君のメールが転送されてきた。再転送可とのことなので、ログに載せてしまう。

コモンズの本
http://www.commonsonline.co.jp/iraq.htm
を読んでも分かることだが、とてもいい感性と思索のちからをもったやつだ。


以下、今井くん(文中自称は「のり」)のメール:
----------------------------
 みなさんへ

 のりです。本当にメールで登場するのは久方ぶりです(もしよかったら、このメールは多くの人に転送してください)。

 やっと、すべてが落ち着いた気がしたので、メールを送ります。

 本当にみなさん、4月の事件では迷惑をかけて申し訳ないです。そして、ありがとうございました。

 9月は一ヶ月、ほとんど東京を中心に動いていましたが、沖縄の基地移設で問題になっている辺野古の取材や渋谷で路上販売をしている人たちと話したり、ストリートミュージシャンを追っかけたり、少しずつテーマが決まりつつあります。

 正直、札幌で何も話す機会がなかったので、今になってみれば、それが残念ですが、しかし、逆にいえば、それもまたいいのかもしれません。

 これから、また勉強しなおし、自分を見直していきたいと思っています。

 そのために、菜穂子や総兄と違って、事件当初以外は講演会やメディア露出などは極力避けてきました。

 一年後、帰ってきたときは、どんな人間になっているかはわかりません。前より落ちこぼれ見たいになっているかもしれないし、多少は成長しているかもしれません。

 でも、基本的に一人の人間です。

 少ない講演会の中で、「がんばってください」とか「応援しています」とか言われるのが一番嫌でしたが、でも、何人か、本当にうれしいメールを送ってくれる人がいました。それは「今井さんのおかげで、こういった社会的なことに目を向けることができた」というメッセージを受け取りました。

 ほとんどは大学生ですが、その中の2人の学生を紹介すると、一人の学生は京都の大学生で、今月、ベトナムの「子どもの家」を訪れたそうです。あと、札幌学院大学の子も、今日メールが来ましたが、ベトナムとカンボジアにいってきたそうです。

 もうひとつ、森住さんと札幌駅を歩いている時、大人からは「今時の若者は」と揶揄されそうなセンター街っぽい服装をしているガングロのお兄ちゃん2人に「今井さん、間違ったことしてないから、がんばってくださいね」と言われたことでした。

 この「がんばってください」は、僕の背中を押す一言でした。

 僕は保守系雑誌「諸君」「正論」などの愛読者ですが、そこで感じるものはやはり、左翼を異質なものへと促す意図、偏見を生み出すような「言説」が取り上げられていることです。もちろん、ちゃんとした批判も存在しますが、同じようにそういった誹謗・中傷が非常に多いのも事実でした。

 それを見て、恐ろしく平和を求める人々と保守系の人々のコミュニケーションの断絶を感じました。要するに「左」と「右」の断絶だと思います。

 また、お兄ちゃんが声をかけてきたところで、想像通り、「上」と「下」の断絶が起こっているのだとも思います。つまり、年齢によるギャップです。

 それは40代、50代の人の言葉が10代、20代の人に届いていない、逆もありえるということだと思います。それは異年齢間の交流や活動があまりに少なくなったからともいえると思いますし、それは市民活動に現れているのだとも思います。

 そういったコミュニケーションが断絶している結果、何か、年齢差によって、基本的な「根幹」が理解できないため、同じ目的を持っていても、お互いに行動できないような状況になっているのではないか、とも思っています。

 言葉足らずでわかりづらいかもしれませんが、「左」と「右」と「上」と「下」のコミュニケーションの断絶が起こっている気がしてなりませんし、それが国の右傾化にもつながっているような機がします。なんとなく、「バランス」が崩れている気が
するんです。

 これを僕は何とかしたいと考えています。僕は僕なりの方法をすでに考えて、それを実践し始めていますが、皆さんと一緒に、それを考えられればと思っています。

 えらそうなことをいっている気がしますが、今回の事件後、なんとなくですが、上述したような仮説を立て、それをどう解決するか(それは左と右のバランスを戻すという意味で)と自分なりに考えているところです。

 浅薄な人間ですが、そんな人間でも、心と頭があります。そして、足も手も目も鼻もあります。身体一杯を使って、これから、これから、テーマを追って行って、できれば多くの人に伝えられる人間になれれば、と思っています。

 僕のテーマは「人間の表現」です。これからもよろしく。


 のり